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第6話  地 球
 紺碧の大海原に、大小様々な島が点々と浮いている。かつての地球にあった北アメリカ大陸のほんの一部だ。
 その一つ、ヴィゴラス島の西側にある港町、サンセットシティは石畳の道とレンガの建物のレトロな雰囲気のある町だった。
 その繁華街にある居酒屋カサリナは、酔って大声を出しても目立たない、いつもがやがやと騒がしく賑やかな店だ。


 「運命だ…!」
カサリナの奥まったテーブル席で、ジョーは言った。
「だろ〜? ありえねぇよな、普通はよ。この膨大な数の中でよ、たった三ヶ月の間に三回だぜ? もうこれは、会うべくして会った、運命の恋人だよな!」
ジョーの左隣でゴセは興奮してすでに大声だ。彼のごつい顔から“運命の恋人”なんて言葉が出て、思わず吹いたメッカがゴセの左隣で突っ込む。
「顔に似合わずロマンチストだよな、ゴセ」
「ロマンチックな顔だよ、俺」
とぼけたゴセの返事に一同は爆笑する。
ゴセの妹のディミー・カーナルがテーブルを挟んだ兄に尋ねた。
「でも相手はどう思ってるの?」
「まんざらでもないんじゃねえの? だって、ダンスだぜ! 正装してワルツだぜ!」
「ダンスぐらい、社交辞令じゃない」
ディミーの言い分は最もだ。ニックが口を挟む。
「なぁ、本当に海賊アルテミスなの? ダンスなんてすんの? あのアルテミスが…?」
ニックの言葉に、全員が思い描いたのは、情報番組や指名手配書のあの彼女だ。あの女海賊とアレンが、正装してダンスを踊っている光景は、どうしても想像できなかった。
「…確かに…コーナで会った海賊アルテミスは…噂通りな感じで、ダンスなんて結びつかないけどよ………。でも、本人が言ってんだから! な!」

 ちょうどそこへ、遅れて来たアレンが、サングラスをかけた背の高いひょろひょろとした男と、艶めく黒髪を背に波打たせた色白な女と共に現れた。
「お! 来た来た! いよ、色男!」
大声でゴセが迎える。
「何、もう出来上がってんの、ゴセ」
苦笑いのアレンに、ゴセはにやにやしながら言った。
「おまえのロマンスで酔ってるんだよ」
「あー…、なんだよ…」
アレンは言葉が詰まってしまった。更には、ほんのりと頬が赤くなってしまってもいる。
店の灯りでは誰も気付かない程の僅かな色づきだったが、色白の女カーラは見逃さなかった。遅れて来たので、盛り上がっている話題が分からない。だが、アレンの様子からして胸騒ぎがした。
 ディミーが身体をねじってカーラを手招きした。カーラはディミーの左横に滑り込むと、勤めて冷静に口を開いた。
「何の話?」
すぐ右横に着座したアレンに聞こえないようにひそひそ声ではあったが、カーラの秘めたる想いを知らないディミーは、オブラートに包む事無くそのまま話し出した。
「アレンのコイバナ。ほら、うちの兄貴が前に言ってたじゃない、海賊アルテミスに会ったって。あの時、アレンが一目惚れしたんじゃないかって言ってた事がね、何だか本当みたいなのよ」
カーラの胸の中に、黒い塊がどこからか落ちて来て、ずーーーんと落下して行く。ディミーに何を飲むか訊かれたが、ディミーが何を飲んでいるのか確かめられないまま「同じの」と言うのがやっとだった。ディミーが「これお酒だけど、明日は早くないの?」とか何とか言っていたが、その声は遥か遠くからの音のようにしか届かない。


 「すげーな、アレン。奇跡が二回も起きたんだな」
ジョーは心底嬉しかった。

 あの時、エジカマでアレンに忠告した。“ また会いたけりゃ約束しねえと”と。でも、晩熟のアレンは実行できずに別れちまった。それからうじうじと(表には出さなくてもオレ様には良く分かる)メソメソと女を思っていたんだ。情けないっつーか、可哀想っつーか、でも“これでいい勉強になったろ、アレン”なんてオレは思ってた。アレンは良いヤツだから神様がご褒美くれたのかもな。…神様っているのかよ? いるならオレにもご褒美くれたっていいのによ。

 「羨ましいぜ、オレも奇跡待ってるんだけどよ〜」
ジョーの言葉にゴセが目を丸くした。
「え、おまえも誰か好きな娘いるの?」
「いるさ、全宇宙の女子」
ここはお約束の返事だ。
「全宇宙の女子ったら、それはおまえを好きな女子達って事だろうが」
ゴセはビールの入ったジョッキを煽った。ゴセの隣でメッカが煙草を吸いながら、
「アレンみたいなバッタリ再会系の奇跡なら、出掛けてかなくちゃダメだぜ、ジョー」
と言った。

 バイクレースチーム“チーム・ハザウェイ”メカニックチーフのメッカは、この中では年配グループに入る。確か30代に突入したはず。バイク整備の腕にジョーが惚れ込み、自分のチームに引き抜いて来た。
 メッカの下でチーム・ハザウェイのバイクを守っているのが、ゴセの隣に住んでいる幼馴染のニックだ。ディミーと同じ歳のニックは、ディミーと一緒に良くゴセに遊んでもらい、本当の兄のようにゴセを慕っていた。ゴセはエアポートの管制官だが、ニックはバイク好きが高じて、メカニックのエキスパートになり、ゴセを通じてジョーと出会った。メカニックとレーサーは、勝利を得るための仲間であり対等である。という自論を持ち、雇い主でもあるジョーに臆する事無く茶々を入れたりもする。
「そうだよジョー、楽して奇跡なんて図々しいって」
「でもオレ、グランレース終わるまで地球から、つか、この街から動けねぇもん」
自分より年下の従業員に言われても、ジョーは可愛く口を尖らせただけだった。アレンの浮いた話がよほど嬉しいのだろう、ご機嫌だ。
「なぁ、アレン、ワッチんトコ行くついでにさ、連れて来てくれよ、オレの奇跡」
「全宇宙の女なんて連れて来れねぇよ」
「おまえの船、巨大じゃん」
ふと、アレンは気になった。
「――おまえさ、マジで誰か捜してんのか?」
しかし、軽くは無いアレンの訊き方に、ジョーはいつも通りの軽さで答えた。
「捜しちゃぁ、ダメなの。もしもまた、ばったり会ったら、そん時はもう運命の恋人だねって誓ったから」
ジョーの、軽くはあったが、その内容に一同は驚いた。誓っただって? 今まで散々、女といろいろして来たジョーだったが“誓った”なんて初めての展開だ。
「マジで?」
ゴセが訊く。
「そ、オレが一方的に」
「相手は?」
煙草をもみ消して、メッカが訊いた。
「バッカじゃないの? って言いやがった」
ジョーは拗ねて視線を落した。誰もがおふざけのポーズだと疑わなかった。
「ジョーに口説かれて突っぱねる女なんているのかよ」
思わずニックが笑う。メッカも茶化す。
「ジョー、奇跡の前に終わってるじゃないか」
ジョーは顔を上げてことさら大袈裟に嘆く。
「やっぱ? あ〜運命の相手じゃなかったのかなぁ」
チーム・ハザウェイ専属ライダーのケンが、ジョーの右隣で言った。
「あんがい、恋愛下手だったりしてな、ジョー。初恋、まだなんじゃねーの?」
「おー、新婚さんに言われると、説得力あるよなぁ!」
ゴセがケンをからかった。ケンは先月結婚したばかりだ。ここへ集まるメンバーは男性8名、女性4名の12名。うち、既婚は二組だけだ。ケンの妻ヒイナと、もう一組の既婚組である女医のミネルバと管制官のサラ夫妻は、今夜は仕事でここにはいない。
「……ジョー、もし本当にまた会えたら、おまえ…その、…本気?」
アレンだけがジョーの気持ちに丁寧に寄り添っている。
「あぁ。そりゃもう運命の恋人ってことじゃん?」
「マジでーーーーー?!」
チーム・ハザウェイが吼えた。
ジョーがとうとう年貢を納める気になった?
このジョーを独占する女が現れようとは…!
「どんな女? バンッ! キュッ! バンッ! で、それから…」
「いや、外から見た感じストーンだけどよ、可愛い子だったんだよなー。ちょっとおっかねートコあったけど、そこもまたカワイーっつーか」
ストーンでOK? しかもまだ、中身直接未確認? 三人は、いや、ディミーもゴセも、もちろん興味津々だった。
「あー、アレンみたいに二度目のばったり、オレにもね〜かな〜」
言いながらジョーは煙草に火をつけた。最初の煙をすーっと吐き出して、
「で、アレン、今度はちゃんと約束してきたか?」
と話題の矛先を向かいの親友に向けた。

 アレンはちょっとの間ジョーを見つめて、そして視線を外して答えた。
「…約束しなくても、もう居場所はわかるから…」
この期に及んで約束をしなかった言い訳のようにも聞こえるが、ジョーは気付いた。
「もしかして、すんげぇ約束でもした?」
アレンはジョーの鋭い勘にちょっと怯んだが、
「いや、彼女の雇い主が、ガボットと取引契約したからさ…ガボットにジーナの、彼女の雇い主の居場所を聞けば、簡単に分かるんだよ。……そんだけ」
何でもないと言う風に、アレンはジョーを見た。しかしジョーは、アレンの瞳の奥にある、落胆の色に気付いていた。どんな落胆なのか。回避できる落胆なら力になりたい。
「…何があったんだよ?」
ジョーはアルコールが入っていたが、冷静だった。
「ごめんなさいって言われちゃった…?」
「…………」

 アレンの脳裏にエントランスで微笑んだ彼女の美しい顔が浮かんだ。美しく冷たい微笑み。そしてコールド銃のような一言。
“私はあなたを好きじゃないわ”
 あれから三週間経っているが、思い出すと今も心臓が凍りそうになる。凍って、暗い沼に沈みそうになる度に、ジーナの一言が光の筋となって降りて来る。
“あの子は天邪鬼だからね”
本心ではない。「好きじゃない」「地球には行かない」反対なんだ。

 「何々、アレン、付き合ってって言ったの?」
思わずディミーがアレンの左肩を揺すって訊いた。
え、とディミーを見たが、返事が出来ずに視線を落す。
――付き合ってくれとは言ってない、俺が言ったのは……。
「もしかして、もっとすっごい告白した?」
プロポーズ経験者のケンがすかさず言った。
「え? え? 何?」
ビールのジョッキを片手に挙げて、おかわりをオーダーしたゴセが身を乗り出して来た。アレンは限界だった。今夜の話題は最も経験値の低い分野だ。うまく立ち回れるはずが無い。
「そんな話はどうでもいいんだよ、今夜はグランレースの打ち合わせだろ?! もう二ヶ月ないんだから、しっかり決めようぜ」
強引に話題を捻じ曲げようとした。
 一番奥で静かに飲んでいた遅刻組みの背の高い男、ロイが初めて口を開いた。
「アレンが抜けて、セカンドは誰?」
「ケンだよな」
ロイの助け舟にありがたく乗って、アレンは答えた。

 彼らが出場するグランレースは、グラン島に毎年作られるサーキットを、三人一組のチームで一台のバイクを使い、80周走り抜けるレースだ。地球を捨てる前の人類の文明にもあった二種類のバイクレースを混ぜたようなレースだった。
 80周のうち、ファーストライダーと呼ばれるメインのライダーは上限50周まで、セカンドライダーは30周まで走れる。控えのサードライダーは10周までしか走れない。控えと言ってもファースト、セカンドのアクシデントに限らず、フルに10周走行しても構わない。
 とにかく、それぞれの規定内を走りつつ、いかに速く80周を走破するかを競うレースなのだ。
 チーム・ハザウェイのファーストは、もちろんジョー・ハザウェイだ。チームの創設者であり、スポンサーでもあり、優秀な看板ライダーでもある。
 セカンドはアレンだ。ジョーにしてみれば、地球でバイクレースなんて始める事になったきっかけがアレンなのだから付き合えと言ったところだ。


 アレンに誘われて地球へ降りたジョーが、唯一興味を持ったのが、故郷でも乗り回していたバイクだった。本格的にレースをしていたわけではない。バイクレースなんて危険な事は、遊びでも母親が絶対に許さなかった。小遣いは使い切れないほどあったので、好きなバイクは選び放題、ジョーは母親の目を盗み、友人達とこっそり乗り回しては楽しんでいたのだった。

 ヴィーナスエリアのコロニー・ヘッシュの有数な資産家の御曹司、かつての先祖は貴族だったという肩書きまで付いた、金髪碧眼の絵に描いたような美少年は、政治がらみに巻き込まれて両親を亡くし、たった一人であだ討ちをして海賊となった。
 世間は、取り分け女性はこのドラマに熱狂した。


 ジョーが海賊だった期間はそう長くは無い。ほんの三年程だ。地球に降りて間も無く、ジョーの指名手配は解けた。何でも、被害者側と警察が取り下げを申請して受理されたとか何とか。一度確定した罪が覆される事もあるのかと、当時はずいぶん話題になったが、毎日発生し続ける新たな事件に、あっという間に埋もれて行った。
 だが、こうして一般人になっても海賊ジョーの人気は衰えず、逆に幻の海賊とも呼ばれ、追い掛け回される始末だった。

 ただでさえ注目の貴公子ジョーが出走するグランレースは、ジョーだけではない、アレンももちろんだが、名だたる海賊達がぞろぞろと集まるのだ。
 それだけ地球に海賊が大勢住んでいるという事なのだが、誰でも降りられるわけではなかった。大気圏外から始まる何重ものチェックをパスした船だけが着陸できて、安住権を入手できるのだ。
 太陽系連邦局の法律が効を為さない場所、独自の法の元に統治されている星、それが地球なのだった。


 「俺、セカンドなんて無理だよ」
弱々しくケンが言った。
「まだレースまで日はあるさ。もしかしたら腕利きのライダーが来るかもしれねえよ」
と、メッカが慰めたが、すぐジョーが言い切った。
「セカンドはケンだよ。知らねぇヤツと走るなんてまっぴらだ」
「…ジョーにそう言って貰えて嬉しいけどさ、最高30周だろ、 俺、サードの10周でも一杯一杯なのに」
「アレンがサードにいるから、ケンは20周頑張ってくれりゃいいからさ、いつものたった二倍じゃん」
サードにいても、10周丸々走った事はなかったので、いつもの二倍以上という事だ。しかし、ジョーに肩を叩かれて、力なくケンは頷いた。それを見届けて、
「じゃぁ、とにかく俺は明日発つな」
とアレンは言った。

 ジュピターエリアに浮かぶコロニー・ナターシャにあるバイクのパーツ屋、通称『ワッチの店』に発注したプラグを、ブレイブアローで直接引き取りに行くのだ。輸送アクシデントや、品物違いにならないためだ。
「頼むぜ、アレン。今年はワッチのプラグにかかってるからよ。アレンがプラグを持って帰って、マシンにくっつけて、調整して、提出して。ま、余裕だな。航海にアクシデントがなけりゃ」
「順調な旅を祈っててくれよ」
「毎朝毎晩必ずお祈りするよ」
真顔を作ったジョーの、ふざけた返事についつられてアレンの頬が緩む。
「なんかムカつく。酒断ちでもしてろ」
笑いながらアレンは言った。あー、無理無理〜と皆の声が上がる。


 酒やら料理やらがテーブルに所狭しと追加されたので、アレンも食べ始めた。明日に備えて酒は控えた。
「明日は何時なの、アレン」
カーラが料理の大皿を差し出しながら言った。
「朝なんだ。まだサラがいる時間でさ」
ロイが訊く。
「朝の何時?」
「6時離陸。今夜はこれ喰ったらもう帰るよ」
「そうか、それじゃ起きるの夜明け前だもんね」
アレンとカーラの真ん中で、無邪気にディミーは頷く。
ゴセがジョッキを掲げて
「アレンの航海の無事を祈って、はい、カンパ〜イ!」
慌てて各々のグラスを掲げて、皆一斉に乾杯した。

 飲み、食べ、騒ぎながら、しかし皆の頭では、先程ケンがアレンに投げた「“付き合って”よりもすごい告白」って何なんだろう? という疑問がぐるぐると渦巻いていた。





 夏の5時は、もう明るい。薄青い街中を抜けて、アレンの車がエアポートのゲートまで来た。入港証明カードキーをゲートの柱へ差し込もうと停車した時、その柱の影から白い人影がひらりと揺れて現れた。カーラだった。
「カーラ? どうした?」
「こっちに仕事あったからついでに寄ってみたの」
もちろん嘘だ。しかしアレンはすんなりと信じて、にっこりした。
「優しい〜。ジョーなんてまだ夢ン中だぜ」
ぶっきらぼうなアレンが見せる笑顔が、カーラは大好きだ。子供みたい。
 アレンにつられてカーラにも笑みが浮かんだ。その頬に黒髪がふわふわとかかる。どの髪もくるくると巻いている。
「往復一ヶ月ね。気をつけてね」
「ああ。カーラも無茶するなよ。ま、パイロットはロイだから、ロケは心配ないけどな」
「ひどい、私だけだと心配なの?」
「だってカーラは命知らずの特攻カメラマンって言われてるじゃん」

 カーラは報道局のスチールカメラマンをしている。彼女を乗せて現場へ飛ぶセスナを操るのがロイだ。カーラは23歳にして、カメラマンとして立派に仕事をしていた。彼女の撮った写真は評判がいい。
 しかし彼女は、その評判の全てが、写真の出来に因るものではないと知っていた。
 女海賊カーラ、もしくは、今は無き独立国家ローガーナ最後の王女カーラ・オーリーチェ・ファナン・ローガーナの肩書きに因る所が多いはずだと、冷静に心得ていた。

「でも、俺は好きだよ」
カーラの心臓が跳ね上がる。
「カーラの写真」
「―――」
分かってる、そんなコトは分かってる、でも、心臓をコントロールはできないの。
 その時、空に声が響いた。
「アレーン! 時間だぞー」
管制塔にいるサラの声だ。
「うわ、スピーカーで名前呼ぶの、ひでーよな」
確かに時間が過ぎていたが、エアポートには他にもたくさんの船や人がいるのだから。アレンは車のブレーキを解除した。カーラは思わず車の窓枠に手をかけた。
「アレン、―――」
「お土産、何かリクエストある?」
「ア……アレン、の無事な帰還。それだけ」
アレンはにっこりと笑って、腕を伸ばし、カーラの頭をくしゃくしゃと撫でた。
「了解。じゃぁな!」
車は走り出す。
「ロイによろしくなー」
窓から出した手を振りながら、アレンはエアポートの奥へと走って行く。

 やがて、今日も快晴を約束するような空に、ブレイブアローが黒くその巨体を浮かべた。そして、みるみる雲の彼方へと消えていくのを、カーラは一人で見送った。

第6話  地 球  END
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